山神祭りと運動会裏話

雄別炭礦の規模だと、社員の福利厚生の一環でさまざまな行事がある。最大のものは山神祭で、6つの区が輪番で担当する。相当以前は「みこし」はかついだそうだが、私がいたときは「みこし」はトラックに積まれて練り歩く中心にいました。トラックの荷台には「みこし」の他は、ただ一人輪番の区の区長が神主の装束で鎮座してました(笑)。当然この区長は神社で「のりと」を奉納し、1年の安全を願うのでした。

しかし区長は労務課の職員で、それなりの偉さと権威を持っていますが、「のりと」をささげるのは全くの素人ですから、区長というのは大変だなと「のりと」をあげる声を聞きながら、雄別に来て始めての山神祭のときに感じたものでした。

踊りの練習も大変でした。詰所の集会所は子供たち(踊る当人)の練習と子供以上に熱心な親御さんで夜遅くまで賑わいました。お酒も必ず。

2番目に大きな行事は運動会だったでしょう。30年代に一時経費節減のため中止されていたものが、昭和40年あたりから復活したのです。事務所から運動会の種目が各区の詰所に通知されると、一番大変なのは出場者を決めることです。炭砿は3交代ですから、前日の土曜日の3番方の人は坑内から出て風呂に入り朝食を食べると、寝ないで運動会に参加するので出場をいやがるのです。もちろん運動好きで3番方であっても自分から出場を希望する人もいますが、大半はつきあいで本音は寝たいというものでしょう。走るのが早い人がこの3番方にあたり、寝たいから出るのはやだと言われると大変でした。

やはり運動会の華はリレーです。男女交互に年齢毎にバトンをつなぐリレーは華であると同時に各区の名誉がかかっているため、寝たいと言うスピードランナーを周囲が説得するのです。それでも駄目だと自治の役員、町内のボス、労組の支部長とクラスがあがり、最後は詰所から区長が家まで行き頭を下げるのです。そうすると周囲が「区長(さん)が頼んでいるのに出ないのか」となり、本人は仕方なく出ざるをえなくなります。足の速い人はつらい。

区の詰所は、その区に住む社員の出勤確保から家族全員の面倒をみていますから、社宅の奥さん方は小さな子供が騒ぐと
「詰所の人が来るよ」
「詰所に言いに行くよ」
一番効果的なのが
「区長(さん)に言う」
と常套手段に使っています。以前九州の炭砿があったところに行った時、案内をしていただいたのが坑内で働いていた人で、その方の家でも子供をしかる時使っていたそうですから、どこの炭砿も似たようなものだったのでしょう。詰所の責任者の区長の権威はたいしたものかもしれませんが、神主の「のりと」まで奉納しなければならないのも大変です。

応援の準備、終わってから詰所の集会所での打ち上げの準備(とにかく、なにかにつけて飲みます)、種目に出場しないけれど応援のための参加者(見学者)確保、練習など大童となります。

そして本番。これはこのHPの写真の中に運動会の一齣がありますから、ご覧になると良いでしょう。